2000年,日本,94分
監督:水谷俊之
原作:貴志祐介
脚本:水谷俊之、木下麦太
撮影:栗山修司
音楽:デヴィッド・マシューズ
出演:木村佳乃、黒澤優、石黒賢、手塚理美、渡辺真紀子

 震災直後の神戸、人の心を読める「エンパス」である由香里は心のケアのボランティアをするために東京から神戸にやってきた。彼女はそこで、12の人格を持つ少女千尋に出会う。そして、彼女には震災後もう一人「ISOLA」という人格が加わっていたが、その人格は他の12の人格とは明らかに異なっていた。
 『黒い家』などで知られる貴志祐介の原作の映画化。黒澤明の孫娘黒澤優が映画初出演で千尋を演じる。原作はかなり怖いホラーだが、映画のほうはホラーではあるもののそれほど怖くはない。

 原作を読んでいてしまったので、怖さはほとんど感じず、長い小説をこなしきれていないという印象が残った。原作では「ISOLA」という名前の意味が終盤まで謎として怖さをあおるのに、映画ではいとも簡単にその名前の意味が明らかになってしまうのに拍子抜け。
 しかし、原作は読んでいないつもりで、この映画について考えると、出来はそんなに悪くないかもしれない。木村吉乃と黒沢優がいい。石黒賢はどうもいけない。CGなどの特殊効果が安っぽくてTVドラマ並。原作を読んでないつもりになっても、時間に対して内容が盛りだくさん過ぎたかなという印象は否めない。
 震災、多重人格、性的虐待、エンパスなどの要素を映画の中で生かしきれていない気がした。

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