Blood Simple
1983年,アメリカ,95分
監督:ジョエル・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
撮影:バリー・ソネンフェルド
音楽:カーター・バーウェル
出演:ジョン・ゲッツ、フランシス・マクドーマンド、ダン・ヘダヤ、サム=アート・ウィリアムズ

 真夜中の一本道を走る車の中、酒場で働くレイはボスの妻であるアビーに好きだという気持ちを打ち明けた。そして2人はそのままモーテルへと向かった。しかし翌朝、モーテルの部屋の電話が鳴る。それはアビーの夫マーティだった。
 アビーの浮気を発端にドミノ倒し的に展開されてゆく事件、また事件。デビュー作ながらすでにスタイルを確立させていたことが感じさせる、言い知れぬ怖さと不気味なユーモアにあふれた作品。いまや売れっ子のバリー・ソネンフェルドもカーター・バーウェルもこれがデビュー作とは驚かされる。

 最初の車のシーンから非常にこった作りで、やはりコーエン兄弟は映像的工夫無くしては語れないということを実感。コーエン兄弟の何たるかを知っている今となってはあまりにコーエン兄弟らしい作品に驚かざるを得ない。
 最もコーエン兄弟らしいと感じるのはストーリー。登場人物たちは自らの意志で動いてはいるのだけれど、なんとなく不思議な力に突き動かされてしまうような感覚。しかもそれが悪い方へ悪い方へと進んでいる慣性を持っているのが常。この映画でも「ファーゴ」の誘拐犯たちのように、みながみなはまらなくてもいいはずの深みにはまっていってしまう。なぜそうなってしまうのかはわからないけれど、どうしてもそうなってしまう。その辺の分からなさがやはりコーエン兄弟らしさなのでしょう。そして面白いところ。
 本当は、しっかりとどこがどう面白いのか分析しなければならないのでしょうが、私にはわかりません。分からなさがいいとしかいいようがない。分かってしまう人もいるのだろうけれど、私はわからなくていいです。分からないまま見るからますます分からなくなっていくそんな悪循環?

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