Traffic
2000年,アメリカ,148分
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
原作:サイモン・ムーア
脚本:スティーヴン・ガガン
撮影:ピーター・アンドリュース
音楽:クリフ・マルティネス
出演:マイケル・ダグラス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ドン・チードル、ベニチオ・デル・トロ、ルイス・ガスマン、デニス・クエイド

 メキシコ、たれこみ情報によって麻薬の密売を阻止した警察官ハビエル。ワシントン、新しく麻薬取締りの責任者となった判事のウェイクフィールド。サン・ディエゴ、息子をプロゴルファーにしようと話す上流階級の婦人ヘレナ。シンシナティ、友達とドラッグをやるウェイクフィールドの娘キャロライン。これらの人々が中心となって、麻薬を巡る複雑なドラマが織りなされる。
 今乗りに乗っているソダーバーグが監督をし、カメラも持った野心作。役者を生かすのがうまいソダーバーグらしく主役といえる役割を演じる人々の誰もが魅力的。特にアカデミー助演男優賞を獲得したベニチオ・デル・トロとドン・チードルがいい。

 最近、全体にブルーがかった映像を使うというのをよく見ますが、この映画もそれを使っています。まずそのブルーがかった映像が出てきて、そのあと普通の色になって、それから黄色がかった粗い映像になる。黄色がかった粗い映像がメキシコのシーンであることは明らかなものの、ブルーの部分はワシントンで使われていたという印象でしかない。ブルーノ部分よりむしろ、メキシコの場面が映像が特異でしかも、スペイン語をそのまま使ったというところでなかなか面白い。
 しかし、自らカメラを握ったソダーバーグ(ピーター・アンドリュースは偽名。アカデミーの規則化何かで監督と撮影を両方やるとなんだかまずいらしい)のこだわりはむしろ手持ちにあるのでしょう。この映画はほとんどが手持ち。普通の会話のシーンなどでも手持ち。ドキュメンタリーっぽさをだすためには手持ちが一番ということなのか、それともただ好きなだけなのか…
 などなど映像的な工夫も見られる作品ではありますが、結局のところソダーバーグの真骨頂は役者の使い方。それは「エリン・ブロコビッチ」のジュリア・ロバーツを見ればわかるとおり。この作品でもマイケル・ダグラス、ベニチオ・デル・トロなど、(私としては)なんとなくパッとしない印象の役者を見事に使っている。そのあたりがすごい。なぜそうなるのかはわかりません。しかし、ソダーバーグの映画は結局のところ役者の映画になってしまうということ。個人的にはそういう監督は非常に好みです。

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