1959年,日本,87分
監督:市川崑
原作:九里子亭
脚本:九里子亭、舟橋和郎
撮影:小林節雄
音楽:塚原哲夫
出演:若尾文子、佐分利信、野添ひとみ、京マチ子、川口浩、船越英二、菅原謙二

 自動車会社の技術部に勤めるやり手のビジネスガール和子は大阪に住む大学時代の先輩梅子と結婚なんかしないと決めていた。その梅子が東京にやってきた折、急に和子が相談があると言い出した…
 市川崑が若尾文子や川口浩といった大映のスター達を豪華に使って作り出した群像劇。テンポの速い展開と独特な演出術が見どころです。

 無表情に棒読みという独特な演出が目に付き、こまごまにきられたカットもかなり頻繁に現れる。特に会話の場面での切り返しが異常に速かったりする。そのあたりの効果のほどは計りかねるものの、全体的にはその妙なテンポが面白い。計算はされているけれど、あえてそれをはずしてゆくという感じ。
 役者さんが共通していて、同時期で、同じカメラマンとなるとどうしても増村と比較してしまうけれど、そもそも増村は市川作品の助監督なんかもやっていたので、かなり共通点はあるはず。しかし、増村ファンとしてはこの作品の物語の淡白さがなんとも物足りなく、若尾文子に魅力が足りなく感じてしまう。映像的にはかなり似通っていて、これはやはりカメラマンによるところが多いのでしょう。小林節雄はデビュー作が市川崑監督の名作「穴」というかなりすごいカメラマン。やはりフレーミングというのはある程度カメラマンのセンスによるのだということが小林節雄撮影の作品を見ていると分かります。この人の作品は画面の一部分を殺してしまうことが多い。壁やふすまや扉で画面の半分くらいを使えない空間にしていしまう構図ですね。増村作品に特に目立ちますが、この映画でも2回くらい使われていたはず。
 などなど、たまにはカメラマンに注目して作品を見てみたいものですが、これはなかなか難しい。相当の数の映画を見ていかないと、カメラマンが出す特徴というのは見えてこないような気がします。うーん、なかなか難しい。

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