Bande a Part
1964年,フランス,96分
監督:ジャン=リュック・ゴダール
原作:ドロレス・ヒッチェンズ
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウール・クタール
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:アンナ・カリーナ、サミー・フレイ、クロード・ブラッスール、ルイーザ・コルペイン

 フランツとアルチュールは車で一軒の家を見にいく。それはフランツが英会話学校で一緒のオディールの叔母の家で、そこに出入りしている男が相当の額の現金を隠し持っているらしい。その後英会話学校に向かった二人はオディールも巻き込んでその現金を盗み出す計画を立てる。
 白黒・スタンダードの画面に3人の若者の組み合わせはジャームッシュを思わせる。もちろん、ジャームッシュが影響を受けたということですが。

 「気狂いピエロ」とはうって変わって白黒・スタンダード、初期のゴダールらしい作品。またこの作品では絶対的な第三者が語り手として存在するのも特徴である。この語りは非常に効果的で、ほとんどが3人の関係性で紡がれていく物語にアクセントを加える。特に3人がカフェで過ごす一連のシーンは絶品。「一分間黙っていよう」というところから、踊るシーンまでの語りと音楽・サウンドの使い方は「うまいねぇ」と嘆息するしかないのです。
 またも天才ゴダールの計り知れなさということになってしまいますが、ここのシーンを見ただけで、並みの監督では想像もできないような作り方ということがわかります。踊りのシーンではいきなり音楽を切って語りを入れるのですが、踊っている音(足音や手拍子)はそのまま使われる。その音楽が「ぷつっ」と切れるタイミングの絶妙さはどうにも説明のしようがありません。
 ゴダールは音の面でもかなり革新的なのですが、この作品もそれを如実に表すものです。今ある映画のかなりのものがゴダールの音の使い方を剽窃(といったら語弊がありますが)しているともいえる。それでもこの踊りのシーンはほかのどんな映画でも見たことがない。「これはやはりまねできないんだろう」と私は解釈しました。

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