1999年,日本,97分
監督:黒沢清
原作:マーク・マクシェーン
脚本:黒沢清、大石哲也
撮影:柴主高秀
音楽:ゲイリー芦屋
出演:役所広司、風吹ジュン、石田ひかり、きたろう、岸部一徳、哀川翔、大杉漣、草なぎ剛

 心理学の研究室の大学院生早坂は霊的な減少に興味を持ち、霊能力を持つという純子を実験に呼ぶ。しかし、教授は早坂の考えに理解を示すものの、実験には反対し、実験は中止となった。そんな純子の夫克彦は効果音を作成する技師で、ある日音を取りに富士山のふもとへ向かった。そこには誘拐された少女が犯人とともに来ていた…
 現代日本ホラーの代表的な監督の一人黒沢清が手がけたTV用のホラー映画。黒沢映画常連の役所広司を主演に起用し、質の高い物を作った。

 霊的なものを扱ったホラー映画の怖さはやはり、いつどこに出てくるかわからないというところ。それは、たとえば連続殺人犯も同じことで、ホラー映画の基本とも言える恐怖感。この映画はその怖さを非常にうまく出している。カメラがいったんパンして戻っていくと、誰もいなかったところに人影があったりする効果。その怖がらせ方がとてもうまい。
 それはホラー映画としては普通の部分だけれど、この映画に独特なのは、その霊がなぜ怖いのかよくわからないところ。よく考えてみると、普段語られる霊というのはあまり実害は及ぼさず、何が怖いのかといえば、その存在自体ということになる。この映画に登場するのもそんな存在自体に人々が恐れてしまうような霊。その具体的ではない恐怖の演出の仕方というのもうまい。そして存在自体が怖いということの、その怖さの下はどこにあるのかと考える。そう考えていくと…
 といっても、具体的な恐怖がないので、いわゆるホラー映画のような怖さではない。脇役で登場する豪華なキャストたちのキャラクターもあって、どこかおかしさもある怖さ。そのあたりのバランスの取り方もうまいです。

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