Excess Baggage
1997年,アメリカ,101分
監督:マルコ・ブランビヤ
脚本:マックス・D・アダムス
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ
音楽:ジョン・ルーリー
出演:アリシア・シルヴァーストーン、ベニチオ・デル・トロ、クリストファー・ウォーケン、ハリー・コニック・Jr

 父親の気を引こうと狂言誘拐を企てた大富豪の娘エミリー。計画は順調に進んでみ、解放される段取りになり、自らをガムテープで縛り上げ、トランクに入ったが、そこに車泥棒のビンセントが現れ、その車を盗んでいってしまう。

 物語はとても普通で、もっと突き抜ければ面白いB級映画になったのに… と思ってしまう程度。そして、アリシア・シルヴァーストーンがひどすぎる。いつも決してうまいとはいえないけれど、このまったくとらえどころのないキャラクターは何なのか? 自分が作った製作会社の作品ということでちょっとやる気が空回りという感じでしょうか? アリシア・シルヴァーストーンといえば小悪魔的な魅力が売りですが、この映画のキャラクターは小悪魔を超えてただの気まぐれ、わがまま、自分勝手。それはつまりキャラクターとしての一貫性がないということ。これでは人をひきつける魅力は作り出せません。
 この映画を救うのは、ベニチオ・デル・トロ、クリストファー・ウォーケン・ハリー・コニック・Jrたち。3人ともなんだかさえない役回りで、輝いてはいないけれど、その情けなさがなかなかよろしい。たぶん本当はわがままお嬢様に振り回されるという役回りで描かれるべきなのだけれど、お嬢様は一人で暴れまわっているだけで、別に誰も振り回さない。だから周りの人たちもよくわからないまま情けない役回りをさせられているという感じになってしまう。
 まとめるならば、なんとなく全体的に間が抜けている感じ。それぞれの部分部分がばらばらで、それがいつかはまっていくんだろうと思わせながら、きっちりとはまることはなく、なんとなくうやむやにされてしまう感じ。
 と、文句ばかり言っていますが、決して悪くはないんです。最後まで見るに耐えるくらいは面白いんです。でも、それ以上ではない。ベニチオ・デル・トロはなんだか不思議な役者で、見ていると飽きないんですね。何かしそうな気がするというか、よくわからない期待感を抱かせるんですねこれが。不思議な役者さんだなぁ。

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