Dr. Jekyll and Mr. Hyde
1941年,アメリカ,114分
監督:ヴィクター・フレミング
原作:ロバート・ルイス・スティーヴンソン
脚本:ジョン・リー・メイヒン
撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:スペンサー・トレイシー、イングリッド・バーグマン、ラナ・ターナー、ドナルド・クリスプ

 高名な医師のジキル博士は教会で見かけた狂人を友人の医師ジョンのもとに連れて行く。博士はその男を自分の研究の実験材料に最適だと考え、ジョンにそれを伝えるが、彼はそれは倫理的に許されないとして拒否する。あくる日、婚約者とともに出席した晩餐会の席上で自分の理論を夢物語だといわれた博士は自分の体で実験することを決意する。
 『ジキル博士とハイド氏』3度目の映画化。スペンサー・トレイシーとイングリッド・バーグマンを主役に据え、ハリウッドらしい華やかな雰囲気に。

 つくりはいかにもハリウッドらしく、主登場人物の2人の女性も美しく、スペンサー・トレイシーもなかなか骨太の演技を見せるので、言うことはないのですが、やはり60年まえだからなのか、戦争中だからなのか、どうしてもちゃちい印象は否めない。変身シーンの特撮(?)が稚拙なのは仕方がないにしても、普通の場面の背景などが書割丸出しなのはなんだか残念。いわゆるハリウッド黄金時代だったなら、あんなちゃちな書割は使わなかったんだろうな… と考えてみる。
 それはさておきこのお話、これを見るまではもっとSF的な話だと思っていたんですが、意外に倫理的な話だった。二重人格といった神経的な話ではなくて、もっと理性的な話。ジキル博士とハイド氏は人格はひとつで、性質と外見が違う。外見が違うのに、人格が2つというのはかなり不思議なものだという気がしました。同じ人とは言えないにしても、ずっと記憶を保っているし、ひとつの人格であることは間違いない。

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