1994年,日本,92分
監督:林海象
脚本:林海象、天願大介
撮影:長田勇市
音楽:めいなCo.
出演:永瀬正敏、南原清隆、楊海平、宍戸錠

 黄金町の名画座・横浜日劇の2階に事務所を構える私立探偵の濱マイク(本名)やってくる以来は人探しばかりだが、人探しのスペシャリストとして仕事はしっかりこなしていた。そんなある日、仲間と雀荘でマージャンを打っていたところ、やくざ風の男が、日本語のたどたどしい店員のヤンにいちゃもんをつけたことがきっかけで、喧嘩に巻き込まれてしまう。
 林海象×永瀬正敏の「濱マイク」シリーズの1作目。コミカルさも併せ持つスタイリッシュな1作。

 鈴木清順が掘り起こされたのは90年代、アメリカでタランティーノが『レザボア・ドックス』を撮ったころ。この作品も鈴木清順に敬意を払い、エースの錠を復活させて、鈴木清順の流麗なカメラをまねる。拳銃を持ってにらみ合う二人を切り返しではなく、移動カメラで捉える。その捉え方に清順の影を見る。
 日本映画にはありえないようなスタイリッシュな格好よさも清順ゆずりか、あるいは、ともに清順を消化したアメリカのインディーズ映画の影響か。懐から武器を取り出そうとするヤンをほんのわずかな動作で止める濱マイクの格好よさは日本映画にはなかなかない。ともあれ、全体を通じるスタイリッシュな感じというのは、清順であり、タランティーノであるとわたしは思います。
 ところで、その武器を取り出そうとしたところですでにヤンの素性にある程度感ずいていたはずのマイクを最後まであくまでヤンの味方に、ヤンを信じさせるように仕向けるものはなんなのか? マイクがそこまでヤンに肩入れする理由はなんなのか? 映画の中でも問いが投げかけられるがそれに対する答えはない。そして映画の中からそれが伝わってくることもない。そのあたりを緻密に描ければ、スタイリッシュであると同時にロマンティックな映画となれたのだと思う。そのロマンティックさの欠如がラストへの盛り上がりと観客の感情移入を妨げる。
 ロマンティックさを排除するならば、あのようなウェットな終盤は不必要で、あくまでクールにばっさりと終わってしまったほうがよかった。あの終盤を描きたいのなら、もっとマイクの視点に観客を引き込むべきだった。そのどちらにも徹しきれなかったところがこの映画の残念なところだと思います。

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