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ハンニバル

2003/6/28
Hannibal
2001年,アメリカ,131分

監督
リドリー・スコット
原作
トマス・ハリス
脚本
デヴィッド・マメット
スティーヴン・ザイリアン
撮影
ジョン・マシソン
音楽
ハンス・ジマー
出演
アンソニー・ホプキンス
ジュリアン・ムーア
ゲイリー・オールドマン
ジャンカルロ・ジャンニーニ
レイ・リオッタ
preview
 10年前ハンニバル・レクター博士の協力で事件を解決したことで有名になったFBI特別捜査官のクラリス・スターリング、ある事件で汚名をかぶってしまった彼女は、ひとりの大富豪の要請で重要指名手配犯人10人に名を連ねることになった逃走中のレクター博士を探す仕事を任されることになった。そこにレクター博士からクラリス宛に1通の手紙が届く…
 トマス・ハリスの小説を原作とした『羊たちの沈黙』の続編。物語は前作の10年後、クラリスとレクター博士の再会を描く。クラリスはジョディ・フォスターに代わってジュリアン・ムーアが演じている。
review
 この映画のレクター博士は基本的には全知全能、ある種の「神」として存在しているように見える。ヴァージャー(何とゲイリー・オールドマン!)がクラリスに対して「神の話をしたら身を引いた」と言ったセリフもそのような考えをさせるほのめかしになっているかもしれない。そんな全知全能のレクターにもどこかほころびがあり、そのほころびから身を滅ぼしていくかもしれない。そこがこの映画の焦点となっているように見える。
 前半のパッツィ刑事のエピソードは面白い。唐突に「先祖がここで首を吊られたパッツィー家のパッツィか?」などと質問し、そこからレクターの心理的な追い込みが始まる。さまざまな複線をしいていき、最後にショッキングな映像を持ってくる。そのサイコ・サスペンスの王道という展開はさすがという感じがする。
 しかし、全体的にわかりやすすぎるという感はある。結構展開が読めてしまうので、せっかくのショッキングな映像の効果も半減という気がする。このわかりやすさはそのグロテスクなシーンが「来るぞ、来るぞ」と期待(?)させて盛り上げて行こうという展開の仕方だと思うが、それがわかってしまうと本当にグロテスクで悪趣味なだけで、ショッキングという効果はなくなってしまう。だから、グロテスクとか悪趣味という点がクローズアップされ、そればかりが注目されるようになってしまったのだろうとも思える。基本的に悪趣味といえるのは「人食い」という点だけで、わたしはそれほどグロテスクとも思いませんでしたが、嫌悪感をおぼえる人も多いことでしょう。
 本当はそのショッキングな場面を本当にショッキングにするためにサスペンス的な展開を中心にして、そのような場面はスパイスにとどめておくべきだったような気がしてしまう。特に後半の展開はひどいものという感じで、結末の甘っちょろさもこの映画はいったいサスペンスだったのかどうなのか、ということすらわからなくなってしまうようなゆるさ加減だ。

 前作の『羊たちの沈黙』はショッキングな部分がクローズアップされたことは確かだが、サスペンスとして完成されていたからこそ面白く見られたのだと思う。 リドリー・スコットという監督はドラマを作るのはうまいのだが、サスペンスの組み立て方はいまいちなんじゃないかと思う。サスペンス的なもので成功した映画といえば『エイリアン』くらいで、これも特殊効果とか設定で面白くなっていたものという気がする。
 なので、原作を読んだ人ならばさらに不満が高まることでしょう。私は原作を読んでいないのでわかりませんが、小説だったならこれはかなりはらはらドキドキとする展開で、レクター博士の人物像ももっと掘り下げてあって、深みがあるということは想像に難くありません。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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