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客途秋恨

2003/7/22
客途秋恨
1990年,香港=台湾,100分

監督
アン・ホイ
脚本
ウー・ニェンツェン
撮影
デヴィッド・チャン
音楽
チェン・ヤン
出演
マギー・チャン
ルー・シャオフェン
レイ・チーホン
加地健太郎
preview
 イギリスに留学している香港人のヒューエンは幼い頃から祖父母に育てられ、母親とはそりが合わない。妹の結婚式ということで仕方なく帰国してみたが、母親はいやみを言うばかりで結局喧嘩になってしまう。じつはヒューエンの母は日本人でヒューエンが小さな頃義理の父母にいじめられていた。そんな母親の過去とこれまではうまく折り合っていけなかったヒューエンだったが…
 いまやトップ・スターのひとりとなったマギー・チャンがまだまだ若手だった頃の作品。監督のアン・ホイの自伝的作品で、母に対する思い入れが強く感じられる作品になっている。
review
 最初はなかなか時代設定というのがわからないのだけれど、日本に行くあたりでようやく70年代くらいの設定であることがわかる。それは複層とか髪型とか、山口百恵のポスターとかそういうものに端的に現れるのだが、映画としてもどこか70年代の日本映画じみたところがある。今見るとちょっと火曜サスペンスじみた構図やらカット割やらという気もするが、それは火サスが通俗化した70年代の日本映画の構図であると思う。この映画は90年に撮られているということだが、外国の映画であるということもあり、火サスほどは通俗化されておらず、しかし70年代映画ほどの鋭さもないという感じになっているが、なんだか悪くない感じではある。
 物語としては基本的には母子の物語であり、家族の物語である。そこに(大きな意味での)中国と日本という問題が入り込んでくるわけだが、この母子の物語というのが厄介で、基本的に娘側からの勝手な解釈であり、和解の物語というよりは娘が母親を理解する物語、自我をぶつけながらも理解は出来るという物語でしかない。それはその理解が共感にいたるまでにいっていないということであり、それでは何かドラマティシズムに欠けるという気がしてしまう。
 もちろん自伝的な作品で、自分の過去や家族を大事にしたいという気持ちがあって、そのためには事実をそのまま描くことがいいと考えたのだろうというのは伝わってくる。しかしそれが事実であるのはそれを語る自分にとってということにとどまるということを忘れていはいけないし、ならばそんな事実に固執することにどれほどの意味があるのかと考えてしまう。自分の家族に向けたメッセージであるならば、自分の考えや感じ方をそのまま伝えることは意味があることだろう。しかし、これは映画であって、ある種の物語がつむぎだされなければいけないものだ。そのような個人にとっての事実も映画の一つの視点としてあるならばとても面白いけれど、それは別の視点があってそれが絡み合ってひとつの物語をつむぎだしてこそ意味があるのであって、この映画のようにただただ自分にとっての事実の吐露に終わってしまっては何の面白みもない。
 あるいは、ひとつの視点による物語で一本の映画になるほど面白い話ではない、あるいは、一つの視点で一本の映画にするには描き方がまずい。といわざるを得ないだろう。一番気になったのは日本でのシーンのせりふのなんとも言えないテンポの悪さ。冒頭のなんとも浮かれたシーンもかなりイタイ。全体的に90年の映画にしては古くて洗練されていない感じがする。設定が70年代なのであまり気にならないが、よく考えると表現力としては10年くらい遅れてるんじゃないかと思う。
 言えば、いろいろ文句も出ますが、あまり言わないでおきます。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: 香港

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