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アントニア

2003/8/5
Antonia
1995年,オランダ=ベルギー=イギリス,103分

監督
マルレーン・ゴリス
脚本
マルレーン・ゴリス
撮影
ウィリー・スタッセン
音楽
イロナ・セカッツ
出演
ヴィレケ・ファン・アメローイ
エルス・ドッターマンス
ヤン・デクレイル
ヴェールレ・ヴァン・オファーロープ
preview
 夜明け前、目を覚ますと同時に今日が人生最後の日であることを悟ったアントニア。映画はそのアントニアの半生を語る物語。
 戦争直後、娘のダニエルを連れて生まれ故郷の村に帰ってきたアントニアは村人たちとはあまりなじまずすごしていた。しかし、アントニアの人柄は一部の人たちをひきつけ、アントニアの家には徐々に人が集まるようになり、子供たちもどんどん生まれ、ときはやのように過ぎていった…
 田舎に住む中年女性の後半生を淡々と描いた佳作。不思議な描写と、女性の物語とも取れる語りが非常に印象的。アカデミー外国語映画賞を受賞。
review
 非常に淡々とした映画で、退屈に見られる向きもあるかもしれない。しかし、とてもうまい作りだし、テンポもゆるりとしていながらもスムーズだし、いろいろな人の興味を引くポイントもちりばめられているし、ある意味では映画として完璧といっていいのかもしれない。完璧ではあるが、それはすべてが「いい」というだけで、決して傑作にはなれない悲しさでもある。
 なので、細部ではとてもいいところがたくさんあったわけだが、とりあえず私の興味を引いたのは、まず不思議な描写。
 映画の前半、娘ダニエルが主人公のような役割を受け持つわけだが、そこでは死人が歌ったり、キリストが動いたり、不思議なことが起こる。それはもちろん実際には起こっていないわけだけれど、しかしただダニエルの幻想というわけでもない。そんな不思議さが描かれていて、これは今で言えば『アメリ』的な世界とでも言うべきもので、現実の中にするりと入り込む幻想的な世界をとてもシンプルな形で映画いていて面白い。大げさに言うならばヨーロッパにおいて『アメリ』を先取っているとでもいえばいいだろうか、前半を見た時点ではこの映画はダニエルを主人公として、『アメリ』のような物語になるのかと思わせる。
 しかし、ダニエルに娘が生まれたあたりから、映画は別の相貌をとり始める。それは“女性の物語”とでも言うべきもので、フェミニズム的メッセージを語ろうとしているかに思われる。アントニアとは女性の自立・強さの象徴であり、男性による支配に抵抗する女性のシンボルである。そんな彼女の周りに集まった人々はフェミニスト的な物語を背負い始める。
 しかし、彼女は母でもある。母であるということと女であること。そこにたち現れてくるのは“愛”である。男性として唯一といってもいい重要なキャラクターである“曲がった手”が「この世は地獄だ」と語るとき、彼が欠いていたものは“愛”だったのではないか。
 そして、この映画は宗教的なものに懐疑を投げかける。キリスト教の根幹にある“愛”を重要なものとしていながらも、教会には疑問を投げかける。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: オランダ

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