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ファム・ファタール

2003/12/6
Femme Fatale
2002年,フランス=アメリカ,115分

監督
ブライアン・デ・パルマ
脚本
ブライアン・デ・パルマ
撮影
ティエリー・アルボガスト
音楽
坂本龍一
出演
レベッカ・ローミン・ステイモス
アントニオ・バンデラス
ピーター・コヨーテ
preview
 華やかなカンヌ映画祭、そこに現われた映画監督は、1000万ドルの宝石を身に纏ったモデルを連れてくる。しかし、その宝石を強奪する計画がひそかに進んでいた。その強奪をたくらむ一味の一人ロールはそのモデルヴェロニカを誘惑し、トイレに誘い込む。そこにはもうひとりが待機し、ヴェロニカがはずしていく宝石を一つ一つ偽物とすり替えていった。計画は成功しそうに思えたが、ボディ・ガードにばれてしまい、仲間が撃たれるが、ロールは宝石を手にして姿をくらませた。
 ひとりの魔性の女“ファム・ファタール”をめぐるクライム・サスペンス。展開に無理があるという感は否めないが、それだけ仕掛けが多く、観客をあきさせない点は評価できる。
review
 “ファム・ファタール”のキャラクターの作り方は流石である。ブライアン・デ・パルマはやはりサスペンスがいい。本人はアクションが好きなのかどうかのか、最近のヒット作は『ミッション:インポッシブル』『スネーク・アイズ』とアクションである。調子に乗って撮った『ミッション・トゥ・マーズ』で大こけして、われに返ったのか、今回はサスペンスの小品を撮った。
 ネタばれになるので、詳しくはかけないが、展開的にはどうもイマイチという感じがする。物語な重要なポイント・ポイントが偶然に頼りすぎている気がする。おそらく“ファム・ファタール”の文字通りの「運命の女」という意味に引かれて、運命論的な展開を選択したのだと思うが、運命というよりは偶然、その物語のつながりの強引さが少々引っかかる。まあ、最後まで見れば、そのいくつかは納得できるものになるのだけれど、それでもやはり完全には納得がいかない。
 いろいろなどんでん返しなどがありつつ、最後まで見たときに、どうしてそこまで“運命”にこだわるのか、ということがどうにも納得がいかない。それで何を言わんとしているのか? “ファム・ファタール”は運命すらも操ることができる魔術的な女なのか? そんなことを言いたいのだとしたら、この映画は今ひとつ何のこっちゃ? という映画になってしまうような気がする。
 そのようなことではなくて、単純に物語の面白さを狙ってこのような展開を選んだのだろうか? そうだとするならば、少々言葉足らずで展開の面白みを十全に発揮しているとは思えない。この展開の仕方に説得力を持たせるような描き込みがなければ、どうも物語だけが宙に浮いてしまう感は否めない。
 そうでもないとしたならば、展開の説得力までを犠牲にして、様々な仕掛けを休む暇もなく盛り込むことが狙いだったのだろうか。確かにこの映画には様々な仕掛けがあり、小さな謎解きの糸が同時に何本も進行していて、観客の頭は休むことがない。一人一人の登場人物がいったい何を考えているのか、何が狙いなのか。思わせぶりに挟まれた様々なモノやセリフや風景はあとからどのように意味を持ってくるのか。そのようなことを考えて楽しむことができる。

 この映画はそのように小さなサスペンスの一つ一つを楽しむ他ない。それでいいといえばいいのだが、ここまでサスペンス然としていると、一つの大きなサスペンスとしての面白みをどうしても期待してしまう。そのあたりがどうもイマイチしっくりとこなかったわけで、やはりこれも小コケと言わざるを得ないのかもしれない。
 アントニオ・バンデラスのゲイ演技はなかなかいいけどね。
Database参照
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国別・年順: フランス

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