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ウィズアウト・ユー

2004/3/24
Entropy
1999年,アメリカ,110分

監督
フィル・ジョアノー
脚本
フィル・ジョアノー
撮影
キャロリン・チェン
音楽
ジョージ・フェントン
出演
スティーヴン・ドーフ
ジュディット・ゴドレーシュ
ケリー・マクドナルド
ローレン・ホリー
ボノ
ヘクター・エリゾンド
preview
 ミュージック・ビデオの監督をしていたジェイクは突然映画の監督をするよう依頼される。運命的な出会いをした恋人ステラとも順調で、幸せな毎日を送っていたが、さまざまに口出ししてくるプロデューサに悩まされ始める…
 新人映画監督の苦悩を描いた風変わりなラブ・ストーリー。自己言及的に自分の行動を解説シーンが繰り返し挿入さえるのがなかなか独特なリズムで面白い。
review
 U2のボノが登場し、つくりはどうもインディーズっぽい。最後まで見ても、いったい何の映画なのか今ひとつわからない。映画の映画なのか、それともラブ・ストーリーなのか。結局のところ一人の男が仕事と恋とに悩む映画ということになるのだろうけれど、それだけの話だと、それで? となってしまう。ラブ・ストーリーとしては非常に微妙な感じがいいと思う。恋愛とはおきることのほとんどが謎である。互いに分かり合っているような気になってもいったん日常から外れた「事件」が起こってしまうと、相手の気持ちがちっともわからなくなってしまったりする。そんな恋愛の風景をこの映画は微妙な色彩、淡いタッチで(といっても甘酸っぱいという意味ではなく)描き出す。この辺りの微妙な感じはとてもいいと思う。
 しかし、それだけではなかなか映画は立ち行かない。なので、映画の撮るということがさも主プロットであるかのように展開されていくわけだが、この映画を撮るという部分はあまり面白くない。監督と製作者の対立なんてゴシップやら何やらでよく聞く話で、それをいまさら映画にされても… と思うくらいのもの。まあ、これは主プロットのような顔をしているけれど結局ラブ・ストーリーを展開させるための物でしかないので、面白くなくてもいいといえばいいのだが、意外にここに多くの時間が割かれているため、映画全体がどうも間延びした感じになってしまっているのがつらい。
 そして、自己言及的なシーン(いったんシーンをとめて、そこに監督が登場し自ら解説を入れるというシーン)が繰り返し入るのも映画を長く感じさせる一因になっているような気がする。このシーンでは映画に描かれていることは過去の出来事として扱われているわけだけれど、普通のシーンではリアルタイムの出来事として扱われている。観客は普通のシーンのリアルタイムの時間に身を置きながら、突如としてその時間を過去として振り返る未来の時間に引っ張り込まれる。面白いといえば面白いのだろうが、その自己言及的なシーンで解説をする監督というのが未来の彼自身ではなく、その時間の埒外にいる存在であるようにも感じられる。それはつまり自分が出演している映画を編集しているかのような超次元的な存在、見た目上は同一人物でありながら根本的に違う人物であるような存在、そのように見えてしまうことでこの映画は映画としての一体感を失い、テンポを失う。もっとシンプルにリアルタイムでラブ・ストーリーだけを描いていったら、すごく地味だけれどいい映画になったような気がする。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ1990~2000

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