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サイコ2

2005/3/8
Psycho 2
1983年,アメリカ,113分分

監督
リチャード・フランクリン
脚本
トム・ホランド
撮影
ディーン・カンディ
音楽
ジェリー・ゴールドスミス
出演
アンソニー・パーキンス
ヴェラ・マイルズ
メグ・ティリー
ヒュー・ギリン
ロバート・ロジア
デニス・フランツ
ティム・メイアー
preview
 あの事件から20年のときを経て、ノーマン・ベイツは精神病院を退院、無罪となってあの家、あのモーテルに帰って来る。ノーマンの担当医であるレイノルズ医師は彼の回復を信じ、ノーマンはその紹介でモーテル近くのダイナーで働くことに。その初日、そこで出会ったメリーがボーイ・フレンドと喧嘩したということでモーテルに泊めてあげることにするが…
 ヒッチコックの名作『サイコ』の続編を20年のときを経て作るという果敢な挑戦。映画は『サイコ』のあのシャワー・シーンから始まり、その後もオリジナルの雰囲気を損なわないよう慎重に作られている。意外と面白い。
review

 この映画を作る困難さは他に類を見ない。誰もが知っていると言ってもいい名作『サイコ』、その続編を作るわけだから。しかも、この監督リチャード・フランクリンはそのプレッシャーから逃れようとはせず、大胆にもあのシャワー・シーンから映画を始めるのだ。しかも、序盤のうちにそのシーンを模倣したシャワー・シーンも使って、あくまでもこれがあの『サイコ』の続編であるということを意識させ続ける。
 そして、その挑戦は一応は成功に終わったと思う。人々の「どうせ面白くないだろう」という予想を覆すくらいには面白い。『サイコ』の最大の焦点であった“母”の謎、それをあくまでも維持し続けることがこの映画の成功の鍵であり、まずはノーマンが再び“母”の亡霊に取り付かれたのではないかと観客に考えさせることで映画を面白くするわけだ。もちろん、それだけで映画を作ったら、続編ということは出来ず、舞台を変えただけの焼き直しになってしまうから、それにはとどまらず、観客の意表をついて観客を引っ張り込もうと奮闘する。中盤から終盤にかけての展開はスリリングで非常に面白い。
 最後まで見てみると、ちょっと拍子抜けというか、「なんだかな~」という感じになってしまう感があるのは否めないが、実はそれでこの映画全体が駄目になってしまわないように、この映画には伏線が張ってある。それは、所々に表れるB級テイストなのだ。オリジナルの『サイコ』はまさにサイコ・サスペンスとしてぎゅっと緊張感が詰まったような作品だった。しかしこの続編では、そのオリジナルに肩を並べることは出来ないと自覚した上で、そこにB級映画の味わいを加えている。
 それは、オリジナルからこの続編までの20年間に映画が経験した様々な変容の結果とも言えるのだ。『サイコ』に始まったと言ってもいいサイコ・サスペンスはホラー、オカルト、スプラッターといった様々なジャンルに広がり、B級映画のジャンルをどんどん開拓して行った。その結果がこの続編たる『サイコ2』に逆に生かされているといえるのではないか。ヒッチコックは残虐なシーンを直接に映すことはせずに、サイコな怖さを演出したが、B級映画はその残虐なシーンを笑いとして見せることでそのおぞましさを緩和するという方法を編み出した。それがこの映画にも生かされ、そのシーンがかもし出すB級な雰囲気が結末のゆるさを観客に許容させるのだ。
 もしこの映画がオリジナルに比肩しようとまっとうなサスペンスとして作られていたとしたらこの結末はあまりにお粗末だ。つまり『サイコ』の続編としてはもちろん正編に劣るわけだが、『サイコ』がいかに現代の映画に影響を及ぼしたのかということを知るにはいい作品だということだ。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ60~80年代

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