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コラテラル

2006/3/16
Collateral
2004年,アメリカ,120分

監督
マイケル・マン
脚本
スチュアート・ビーティー
撮影
ディオン・ビーブ
ポール・キャメロン
音楽
ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演
トム・クルーズ
ジェイミー・フォックス
ジェイダ・ピンケット=スミス
マーク・ラファロ
ピーター・バーグ
preview
 ロスでタクシードライバーをするマックスは、ある夜、女性検事のアニーを乗せ、言いあいからいい雰囲気になってマックスは名刺をもらう。次に乗せた男ヴィンセントは一晩で数箇所回る代わりに600ドルという大金を払うという。マックスはそれに応じるが、最初に止まった場所でいきなり一人の男が車の上に落ちてくる…
 『アリ』のマイケル・マンがトム・クルーズを悪人の主人公にして描いた本格アクション。ロスのひと夜の風景と、映画の勢いはいい。
review

 殺し屋とそれに巻き込まれてしまうタクシー・ドライバーという組み合わせは今まで見たことのない新鮮な取り合わせで、それはそれでどのように展開して行くのかを楽しみに見れる作品だ。そして、それなりにおもしろく話は展開して行くし、そのスピード感、テンポの強弱は非常に洗練されていて、さすがはドリームワークスという感じである。
 が、それはまたどこかで見たことがあるような気がするという印象にもつながる。特にこの作品は音楽の使い方などが80年代、90年代あたりのアクション映画を思わせるし、そう考えて見ると凸凹コンビのアクション映画というのはエディー・マーフィーの作品をはじめとして80年代のハリウッド映画の十八番だった。この作品はエディ・マーフィーの80年代作品のようなコメディでこそないが、笑いの要素も盛り込まれ、似た系統の作品であることは間違いない。
 ただ、底抜けに明るい80年代と違い、現代のアクション映画は暗い。この作品は舞台をロサンゼルスの夜とし、主人公の一人を夜だけ営業するタクシー運転手にした。それによってスリルと雰囲気が増し、犯人を捕まえる側ではなく、殺人を犯す側が主人公であるこの作品のムードを見事に表現したと思う。

 というわけで、現代風で、プロットもおもしろく、映画としてもしっかりと作られている映画だから、見ていてつまらないということはない。しかし、何か違和感があるのはやはりトム・クルーズだろう。最初のトム・クルーズの登場シーン、それは映画の始まりのシーンでもあるが、このシーンですでにそのひげがおかしく見えてしまう。ひげはその後は暗がりにも助けられて目立たなくなるが、どうも殺し屋の迫力がないのだ。
 うつろな目は何を考えているのかわからない怖さを表現して入るけれど、何をするかわからない危なさは表現しえていないし、そもそもトム・クルーズの童顔はやはり悪役には向いてはいないのではないか。
 さらにいえば、役柄の上でも、理知的で腕利きの殺し屋にしては今ひとつ計画がいい加減という感じがしてしまう。それを「アドリブ」と言ってごまかすけれど、殺し屋としてはお粗末としか言いようがない。もちろん、それこそ完璧な殺し屋だったら素人のタクシー運転手の付け入る隙などないわけで、いろいろな点で今ひとつの殺し屋だからこそ話になったのではある。
 運命という名の偶然にプロットの重要な部分が寄りかかっているというのはハリウッド映画の特徴のひとつではあるが、この作品はそれが非常にわかりやすく出たものと言える。偶然の連続が物語にテンポを与え、次から次へと意外な方向に話が展開して行くことを可能にする。
 まったくもって、そんな風な映画ではあるけれど、ひさしぶりにいかにもなハリウッドのアクション映画を見たという気になった。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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