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ベストセラー

ラブソングができるまで

★★.5--

2007/12/16
Music and Lyrics
2007年,アメリカ,104分

監督
マーク・ローレンス
脚本
マーク・ローレンス
撮影
ハビエル・ペレス・グロベット
音楽
アダム・シュレシンジャー
出演
ヒュー・グラント
ドリュー・バリモア
ブラッド・ギャレット
クリステン・ジョンストン
ヘイリー・ベネット
preview
 80年代にアイドルグループ“Pop!”のボーカルだったアレックスは「なつかしのスター」として活動を続けていた。そんな彼のところにカリスマ的な歌手コーラから新曲の依頼が。最初は人気作詞家と組んだ彼だったが、そこに植木に水をやりに来たソフィーが口ずさんだ詩にほれ込んだアレックスは、彼女に作詞を頼むが…
  80年代をネタにしたラブコメディ。ヒュー・グラントとドリュー・バリモアという英米のラブコメスターが初共演した。
review

 “Wham!”を髣髴とさせる80年代アイドルのプロモーションビデオで始まるこの作品。そのビデオの中で80年代な髪型と格好で歌い踊るヒュー・グラントはおかしい。私なんかはこの80年代ポップスはぎりぎりストライクな世代なので、少々つぼに入ってしまったが、それ以外はどうなのだろうか。
  80年代に大人気となったWham!は「ラスト・クリスマス」こそクリスマスになると今も毎年かかるが、それ以外の局は懐メロとしてかかる程度だ。ソロデビュー直後はヒットを飛ばし続けていたジョージ・マイケルも今はあまり名前を聞かなくなってしまった。そして「もうひとりのほう」アンドリュー・リッジリーはソロアルバムを出したもののこの映画の主人公アレックスのようにまったくヒットせず、今はすっかり消えてしまった。 
  そんなWham!とどうしてもかぶるPop!を見てそんなトリビアを思い出しながら見てしまうわけだが、そういう80年代カルチャーのその後を知らないと、おばさんというには若いがお嬢さんというには少々きつい年代の女性達ばかりが嬌声をあげ、後ろでは元同級生の男どもがしらけた顔をしている同窓会でのアレックスのステージの面白さはわからないのではないだろうか。
  こんなことで考えるのは、ハリウッド映画というのはどんどん細分化されてきているということだ。一昔前は老若男女誰でも楽しめる映画がヒットし、観客を分けるといっても子供と若者と大人という区別ぐらいだったのが、今ではもっと世代を細かく分けて観客のターゲットを絞っているように思える。この作品などは40歳前後の観客をターゲットにし、それ以外のことはあまり考えていない。これはシネコンと多スクリーンかに一因があると思うのだが、まあとにかくそのように細分化されてしまったために、人によって面白かったり面白くなかったりする作品というのが増えているように思える。

 その80年代ポップという特徴を除くと、この作品はきわめてスタンダードなラブコメというくらいしか特徴はない。男女が偶然に出会って少しずつお互いに引かれていくという話。ヒュー・グラントとバリュー・バリモアの魅力で何とか持ってはいるが、プロットはありきたりだし、台詞はくさすぎるし、登場する人物はステレオタイプだし、エピソードもどこかで聞いたようなものばかりだ。
  監督のマーク・ローレンスは『トゥー・ウィーク・ノーティス』に続いて2本目の監督だが、それ以前は脚本家で『デンジャラス・ビューティー』などの脚本を書いていた。2本目ということで特に彼独特のスタイルというのもないようだし、演出よりも脚本で物語を組み立てようとしているのが見えすぎてしまう。言葉に頼らず、映像でもう少し語っていたら物語に入り込みやすかったのではと思うのだが。
  この映画はドリュー・バリモアかヒュー・グラントのファンか80年代に青春時代を過ごした人には楽しめるが、他の人には平均点のラブコメでしかない。まあそれでいいのかもしれないけど、そこには心はこもっていないよね。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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