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トゥー・フォー・ザ・マネー

★★★★-

2008/2/5
Two for the Money
2005年,アメリカ,122分

監督
D・J・カルーソー
脚本
ダン・ギルロイ
撮影
コンラッド・W・ホール
音楽
クリストフ・ベック
出演
アル・パチーノ
マシュー・マコノヒー
レネ・ルッソ
アーマンド・アサンテ
preview
 大学でスターQBだったブランドン・ラングは膝の怪我でプロ入りはかなわなかったが、復帰を期して働きながらトレーニングにいそしんでいた。その彼がフットボールの勝敗予想の仕事を始めると、ものすごい的中率で、ニューヨークからスカウトがやってくる。その社長ウォルターはブランドンを天才と持ち上げ、売り出そうとする。
  アル・パチーノとマシュー・マコノヒーが共演しているが味わいはB級映画のものでなかなかいい。監督は『テイキング・ライブス』のD・J・カルーソー。
review

 簡単に話を説明すれば、怪我でプロの道を閉ざされた男が、予想屋として成功するというだけの話。ただそれだけの話なので、ただそれだけの話として筋を追っていくとこの映画はこれっぽちも面白くない。そもそもスポーツ賭博というのが日本ではなじみが無いし、ギャンブルの当たったあたらないであからさまに生活が変わるという生き方をするということがどうも信じられないのだが、ブランドンはギャンブルに生活をかけてしまうような人間を乗せて大金をかけさせる。まあ予想が当たるから相手も儲かって結果的にはいいのだが、そこはあくまでもギャンブル、いくら天才と入ってもあたるときとあたらないときがあるわけだ。まあ、そんな冷静な判断をする人はギャンブルなんかそもそもやらないわけだが、そう考えると、この作品の前半(というか中盤過ぎくらいまで)はまったくどうでもいい話に思えてくる。予想屋で大金を稼いだってそれが何だという感じだ。
  しかし、この作品の肝はそこには無い。このブランドンの才能を見出し、彼に“ジョン・アンソニー”という名前を与え、さまざまな策を弄して彼を操ろうとする男ウォルター、彼の行動がどうも引っかかり、この単純明快でどうでもいい話にもやもやした感じを付与する。
  ウォルターが何らかの依存症であることが妻のトニーによって示唆され、ウォルターはやたらにブランドンを持ち上げ、ブランドンとトニーの関係を疑い、ギャンブルに依存する人たちの集会に行って「本当は負けたいという欲求があるんだ」と演説をぶつ。単純な物語のまっすぐな道を何度も横切りながら蛇行するようなこのウォルターの言動の行く先はどこなのか。心臓に持病を抱え、ブランドンが現れたから何かあってももう大丈夫だとトニーに繰り返し語るウォルター、ブランドン以外の予想担当者を冷たくあしらいすらするウォルター、その男としても経営者としても不可解な行動の裏には何があるのか。その謎は観客にもブランドンにも意識されないままに映画の冒頭からずっと横たわっていた。
  そして、最後にその謎が瓦解する。それは決して劇的な展開では無いけれど、納得できるしまったく単純に見えた物語の中に実はもうひとつの縦糸が織り込まれていたことがわかって感心もする。

 でもまあこれはあくまでも(いい意味で)B級映画というべきだろう。アル・パチーノもマシュー・マコノヒーももちろん大物だし、レネ・ルッソもアーマンド・アサンテも十分に知名度のある役者だ。しかしやはりスポーツ賭博というあまり表立ってできるものではないし、同時に裏社会のものとしては地味なジャンルが題材であることがこの作品のB級さをかもし出しているのだろう。アル・パチーノはさすがにうまいけれど、役者の演技がうまいだけで必ずしも映画が高尚なものになるとは限らない。
  それにこのD・J・カルーソーという監督がまたB級な映像を作り上げるのだ。時代が時代ならフィルム・ノワールでも撮るのだろうが、今の時代にはこの少々陰のある映画作りはどうしてもB級に傾きがちだ。マーティン・スコセッシくらい大物になれば話は別なのだろうが、まだまだ(というか今後も)そんな大物にはなれない。『テイキング・ライブス』もそこそこの作品だったし、これもまあそこそこの作品だ。いっそもっとキャストを落として自由に作品を撮ったら、もっと面白い作品が撮れるんじゃないかと思うが、TVと映画を掛け持ちする演出家だからこんな感じでいいのかもね。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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