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ベストセラー

菅井君と家族石 THE MOVIE

★★★--

2008/7/22
2007年,日本,93分

監督
FROGMAN
脚本
FROGMAN
FLASH
FROGMAN
音楽
副島さんとピンカラ殺生s
出演
FROGMAN
preview
 島根県出雲地方に暮らす黒人の貧乏一家菅井家、ひょんなことから何でもおいしくしてなってしまう魔法の粉を手に入れた彼らは食堂を経営することにする。その食堂にじいちゃんの幼馴染というビクターという男が現れる。ビクターはミュージシャンだと名乗るが実は…
  『秘密結社 鷹の爪』でおなじみFROGMANのデビュー作である「菅井君と家族石」の劇場版、パロディに満ちたナンセンスコメディ。
review

 「菅井君と家族石」はつまり“Sugai and the Family Stone”、言うまでもなく“Sly and the Family Stone”のもじりである。もじりだからと言ってスライをモチーフにしているかというとそうではなく、ただ黒人だというだけでじいちゃんにいたっては何故かレイ・チャールズだった。このオリジナルはWebで公開され、FROGMANを注目のクリエイターへと押し上げ、そこから『秘密結社 鷹の爪』などが生まれた。そして後発の『秘密結社 鷹の爪』の映画化に遅れてこの『菅井君と家族石』も映画化されたというわけだが…
  結論を言ってしまえば、これは徹底的にナンセンスだ。10分程度の短いエピソードをつないで全体をひとつの物語にしているのだが、そのつながりはかなり薄い。一つ一つのエピソードで好き勝手なことをして、映画としてまとめるためになんとなく全体に物語をつけたというだけのもの、したがって基本的なスタンスとしては1つ1つのエピソードを楽しもうと考えたほうがいい。あるいはとにかく下らないギャグを笑う、それが出来ないと全体的にしまりのない展開だけに飽きてしまうのではないか。
  基本的には映画と音楽をネタにナンセンスなギャグを連発するだけ、そのネタはメジャーなものがほとんどだが、ギャグのつくりが特殊なだけに誰でも楽しめるというものではなく、どこか物事を斜めに見るひねくれた人のほうがしっくり来るんじゃないかと思う。また、結構古いネタも出てくるので30代以上でないと多分厳しい。そんな条件をクリアすればオリジナルのWeb版を見ていなくても楽しめる。オリジナルを見てから映画を見るというよりは、映画を見てはまれば、オリジナルを見るというスタンスのほうが正しいのではないか。
  一般受けするという面では『秘密結社 鷹の爪』のほうがオススメできる。私は『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE』からFROGMANにはまり、『鷹の爪』のオリジナル、『菅井君と家族石』のオリジナル、そしてこの『菅井君と家族石』の映画版と見てきたのだが、それでもこの映画のディープナ世界にはなかなかはまりにくいものがあった。

 ただ、音楽は凄くいい。オープニングから流れる音楽を担当したのは“副島くんとピンカラ殺生s”、この音楽が非常によく映像を格好よく見せもする。その正体は“Soil & "Pimp" Sessions”、格好よくてシャレもわかる彼らのサウンドにしびれる。『菅井君と家族石』はそもそも音楽好きのFROGMANの妄想からはじまっただけに、音楽ネタの宝庫でもある。
  メジャーになったFROGMANだが、作るものはまだまだマニアック、そんなマニアックさに惹かれたマニアな著名人もいろいろなかたちで登場するこの作品、わかる人にはこっそりと勧めたい、でもこんなのが好きだと知られるのはちょっと恥ずかしい、そんな作品だといえばわかってもらえるだろうか。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: 日本90年代以降

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