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ベストセラー

ハナ肇の一発大冒険

★★★.5-

2008/10/8
1968年,日本,91分

監督
山田洋次
脚本
山田洋次
宮崎晃
撮影
高羽哲夫
音楽
坂田晄一
出演
ハナ肇
倍賞千恵子
入川保則
なべおさみ
犬塚弘
飯田蝶子
preview
 肉屋の主人、間寛一のところにフランスから絵葉書が届く。その葉書を見た寛一はとりもなおさず空港に向かい、その係員に事件の顛末を語り始める。それは3ヶ月前のこと、レストランで知り合った美女亜子に頼まれて横浜へ、彼女は高価なダイアモンドを持ち、追ってにおわれていたのだ…
  山田洋次とハナ肇による“一発”シリーズの第2作。今回は日本列島をまたにかけるアクション巨編!
review

 シリーズ一作目はコメディに教訓めいた物語を加えたものだったが、この第2作はコメディというよりアクションの要素が強い。ダイヤモンドを持って追っ手から逃げる美女をひょんなことから助けることになった肉屋のオヤジが、追っ手をかいくぐりながら逃避行をつづける。ハナ肇が間抜けなことをやって笑いを振りまきはするが、もはやコメディではなく、シリアスなドラマの中に笑いが織り交ぜられているに過ぎない。
  しかもそれがなかなかのもの。ハリウッドの模倣といわざるを得ないようなシーンも多いけれど、こんな日本映画があったのかというようなアクション巨編である。最初のカーチェイスなどはどこかパロディじみたところもある(なんと言っても肉屋のライトバンでカーチェイスをするのだから)のだが、後半は山岳アクションになり、なかなかの迫力。セット丸出しのシーンもあるが、しっかりとロケーションもして、雪山の迫力を出しているし、ドラマ性もあってあきさせない。
  ハナ肇と山田洋次という組み合わせから期待される作品とはまったく違うが、これはこれで面白い。山田洋次というと初期の作品はコメディ、それ以外は人情ものというイメージがあるけれど、そこから外れた作品であっても面白いものを撮れるということだ。ハナ肇もゴリラ似のおかしな顔ではあるがシリアスな演技も出来る。なんと言っても魅力なのは大口開けての馬鹿笑いだが、彼に限らずクレージーキャッツの面々はみんな本当に芸達者でシリアスな演技もしっかりこなす。山田洋次が好んで起用するのは犬塚弘で、とぼけたキャラクターを演じる彼の存在は映画に欠かせないものだ。
  ハナ肇と山田洋次はこの“一発”シリーズの前に“馬鹿”シリーズを撮っているわけだが、その“馬鹿”シリーズのほうは純然たるコメディだった。それはそれで面白いのだが、コメディから少し離れたこの“一発”シリーズのほうが山田洋次とハナ肇の特性がより生かされているように思える。山田洋次の代名詞“寅さん”もコメディ的な要素はあるが、基本的には人情噺だ。山田洋次はおそらく、ハナ肇というスターを使ってコメディを撮れという制作会社からの指示に従いながら、少しずつ自分らしさを見つけ、それを発揮していったのだろう。そしてそれに答えてくれるハナ肇という役者に出会えたのも彼にとって幸運だった。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: 日本60~80年代

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